素人による体験記です

これは医学的な見地に基づく内容ではありません。あくまで素人が自身の歯磨き上達のために行った内容を記録したものです。

常々歯磨きは名前がよくないと感じている。磨くという言葉が入っているために歯ブラシを当ててゴシゴシすればいいように思えるし、歯磨き粉に含まれているメントールの爽快感でその瞬間はスッキリするので磨けている気がするが、実のところ磨けていない。特に人間の歯は矯正しない限りは不規則に並んでいるので、大雑把にゴシゴシするだけでは磨けない。より正しい表現としては磨きたい場所にブラシを当ててゆすると言った方が近いかもしれない。

周りを見渡すと、歯磨きの習慣がない人はおよそ40代くらいから老化とともに口腔内の状態が悪くなり、歯が痛くなったことを発端として長い歯科治療を受け始めるようだ。素人ながらも歯に詳しくなってくると「歯が痛い」という状況はすでに手遅れだし、歯が痛くなったら歯医者という流れを繰り返していると老後に歯が残らない。歯がないと咀嚼できなくなり、自然と食が細る。食が細れば命に関わる。しかし、みんな歯医者を嫌がるのは、ほかの病気と違って自らの行いがそのまま反映されるものだからだ。歯磨きをしてなかったり下手だったりするから虫歯になるし、そのことを歯医者で指摘される。治療は痛く不快なもので、多くの人間にとって歯医者にはいい思い出がない。

私もかつては適当な歯磨きをしていて、定期的に歯医者に行くこともなかった。それでいいと思っていた。歯磨き楽勝ォォ!…しかし、ある日奥歯に鋭い痛みが走る。なにか非常にマズいことが起きていることを感じた。歯医者に行くと駆けつけ一本と親知らずを抜かれた。その歯には大穴が空いていて、ほかの歯も虫歯なんだそう。先生に「このままだと歯がなくなるぞ」と言われ、イチゴ味の液体で染め出した歯は真っ赤。

悔しいのでそれ以来、歯磨きを攻略すべく奮闘している。私が通っている歯科では超絶厳しい歯磨きチェックがされるので値は高くなりやすいが、おおむねプラーク付着率80%、50%、30%あたりに壁があってこれを越えるには『発見』がなければ難しい。それは歯科衛生士からも教えてはもらえるが、それよりも遥かに求められるのは自身による訓練と探索だ。

歯磨きが上達するには

歯ブラシをしゃぶらない

これは80%の壁を越えるために必要なことだ。80%というのはほぼ歯が磨けていない状態である。理由は簡単で、歯ブラシを口に含んだままテレビやスマホに集中していて、肝心の歯磨きがおろそかになっている。正しく歯ブラシを使えていないので毛先の消耗も激しい。この段階を抜け出せないのであれば、まずは意識を変える必要がある。歯磨きはそんな片手間にできるものではなく、歯磨きしているときには歯のことだけを考えるべきである。

意識が変われば表面を磨くことは難しい話ではなく、それだけで60%くらいまでに改善する。

歯間が磨けているか?

ほとんどの人が歯ブラシで歯間を磨けていないし、それは歯間ブラシやフロスの役割だと考えているかもしれない。しかし、実際には歯ブラシで歯間を磨くことはできるし、それもフロス並に磨くことができる。

これができれば60%の壁は越えられるが、歯間に毛先を入れるという発見が必要である。簡単なのは二段植毛の歯ブラシを使うことで、毛先を押し付けることで簡単に歯間に毛先を入れることができる。さらなる高みに登るには二段植毛の歯ブラシを卒業しなければならないが、しばらくの間は強力な相棒となってくれる。

歯間の磨き方としてはズボズボ毛先を出し入れするのではなく、毛先を入れたまま細かくゆするか、円を描くようにうねらせることがコツ。最初のうちは歯肉が鍛えられていないので出血したり疼いたりするが、そのうち引き締まってくる(歯茎を痛めないように注意)。逆に歯間を磨こうとして痛みや疼きを感じるのであれば歯ブラシの未到領域である。

裏側が磨けているか?

歯には表があるので裏もある。みんなそのことは認識している。ただ、裏側は磨きにくいので面倒くさがって磨かなくなってしまうのだ。私も最初は「表面はよく磨けている」と評価をもらったが、事実この裏側を磨くというのが大層難しいし、そもそもどのように歯ブラシを入れたらいいのかわからないのだ。自分で試行錯誤してもいいが、特に奥歯へのアプローチの仕方については、歯医者で歯科衛生士に歯ブラシの入れ方を教わってもいいかもしれない。

また、歯の裏側を磨いている姿は人から見ても麗しいものではないので、洗面台で醜態を晒したくないということであれば、風呂場で遠慮のいらない歯磨きをすることをおすすめする。オエオエいいながら顔面から汁という汁を垂れ流しても簡単に始末をつけられるし、実際にそうしたほうが結果がいいことが多い。

私はもとより嘔吐反射が強く、歯の裏側を磨くことに抵抗があった。特に奥歯は難しく歯医者でも指摘され続けたのだが、これは朝一の胃になにも入ってない状態で歯磨きをすることで克服した。吐くものがなければ嘔吐も空振りになるというわりと強引なやり方ではある。

歯間と裏側をある程度磨けるようになると30%の道が拓けてくる。こうなると歯医者でもかなりよく磨けていると評されて、褒められることが増えて、逆に扱いがよくなってくる。それだけ歯医者というのは自分の行いが反映される場所でもある。

慣れると舌でわかる

歯磨きがある程度上達すると舌で歯を舐めることで、ヌルヌル、ザラザラ、スベスベ、ツルツルのように、歯がどの状態にあるかわかるようになる。これは冗談ではなく、歯に意識が向いた結果として舌で感じ取れる口腔内の情報が増えるのだ。

感覚が研ぎ澄まされるので、飴玉を数個舐めて数時間もすれば歯がザラザラしてくるとか、糖質が含まれていないアルコール飲料を飲んでも、歯磨きの有無でその後の歯垢の付き具合が変わってくる、というように食べる食品によっても歯にどのような悪影響があるのかわかるようになる。ひとたびこの領域に達すると歯垢がついていることが許せなくなってくるので、時と場合によっておのずと食べるものに制限が加わるようになるかもしれない。

歯ブラシの選択

高い歯ブラシ

世の中には歯科医推奨とかナントカ素材の1本300円以上する歯ブラシもあるが、いい筆を買ったから絵がうまくなるとか、高いキーボードを買ったからプログラミングがうまくなると言っているのと変わりない。高い歯ブラシよりも自分にあう歯ブラシを見つけた方がいい。

私はいろいろ試した結果、1本70円程度の激安歯ブラシ(かため)を使っている。なにより自分にあっているし安いので、毛先が開いてきても、もったいないとすら思わず次々と替えていける。結果的によい状態の歯ブラシを使い続けることができているので一石二鳥だ。

歯磨き粉も同じだ。知覚過敏があるので長らくシュミテクトを使っていたのだが、あまり歯垢除去に寄与しないし、知覚過敏の痛みに慣れたこともあり、一番安いクリニカハミガキを使っている。いくつかフレーバーがあるので毎回変えることで飽きがこない。

ゴム歯ブラシ

クリニカPRO ハブラシ ラバーヘッドのように毛がゴムでできている歯ブラシもあるが、ナイロン製歯ブラシの代わりにはならない。毛が大きく硬いので歯間に入り込まないし、却って磨き残しが増える。しかし、ナイロン製歯ブラシのあとの仕上げとしては優秀で、スベスベ止まりの歯をツルツルにできるので、もし舌で歯の状態がわかるようになったら手を出してみるといいかもしれない。感動する。

歯間ブラシ

ワイヤータイプとゴムタイプのものがあるが、たまにゴムタイプを使用している。連続して使用すると歯茎が下がってくるので気が向いたときに使う程度。ゴムタイプは磨けるとキコキコ音がするので嬉しい。最近では物価高の煽りを受けてかジェネリック品も出てきているが、既製品と比較するとゴム部分が弱く、1回の使用で1本が保つか保たないかくらいの耐久性。

タフトブラシ

奥歯や上の歯が磨きやすくなる。あくまで普通の歯ブラシのサポート役なので使用頻度は低い。歯磨きのために使うこともあるが、歯ブラシを入れるための見当を付けるためにも使用することがある。形状的に歯間に入れづらい気がする。